活動報告

現状と課題 1

宮城県の状況について

東北大学大学院医学系研究科
小児病態学分野 特命教授

笹原 洋二 先生

 宮城県では2021年1月から4月まで東北大学病院出生例を対象としたパイロット試験を施行し、濾紙血を宮城県・仙台市と共用する形で、わかりやすいパンフレット作成や産科施設への説明などを行って準備を進めてきた。

 2021年5月1日より宮城県公衆衛生協会を運用機関として、PIDとSMAの追加検査事業を開始した。協力機関は宮城県内産科施設34施設で、施設参加率は100%である。これまでの追加検査施行例は11ヶ月で10,834例であり、平均受検率は当初の3ヶ月で上昇し、現在は87%となっている。偽陽性を少なくするために同じ濾紙血での再検査、低出生時体重児のTREC低値での再検査の運用を取り決めて行っている。

 精査例はTREC6例、KREC5例、SMA1例(TREC/KREC重複例1例を含む)が精査対象となり、陽性率はTRECで0.055%(1/1805)、KRECで0.046%(1/2167)SMAで0.010%(1/10834)であった。TRECでCHARGE症候群1例と22q11欠失症候群1例が、SMA1例が確定診断された。SMA症例は出生前診断され、MSでも確認された症例であり、速やかに治療介入となった症例である。TREC陽性例には先天性心疾患3例が含まれ、TREC/KREC陽性例はDown症候群1例が含まれ、KREC陽性例ではB細胞数が正常域の症例が4例含まれていた。

 今後は東北地方への拡大を目指して、各県および各大学と運用を検討中である。

活動報告一覧へ戻る▶