活動報告

現状と課題 8

宮崎県における拡大スクリーニング

宮崎大学医学部看護学科 教授

澤田 浩武 先生

 宮崎県では、2020年4月から拡大スクリーニングを実施している。対象疾患は原発性免疫不全症とライソゾーム病(ポンぺ病、ファブリー病、ムコ多糖症Ⅰ型・Ⅱ型)で、従来の濾紙血検体を用いる。費用は6,000円で、精査は宮崎大学医学部附属病院で行う。拡大スクリーニング受検者の割合は徐々に増加し、直近の2022年4月は施設参加率が88.2%で、NBS全体の80.2%の児が拡大スクリーニングを受検している。2022年4月までに11,462人が受検し、ファブリー病が4名、B細胞欠損症が1名発見されている。

<課題と対策>
①遺伝カウンセリング体制の充実
特にファブリー病スクリーニングは多くの課題があり、宮崎大学では、遺伝カウンセリング部主導で、NBSで発見されたファブリー病症例の登録ならびに前向き観察研究を行う予定である。
②有料拡大スクリーニングの受検率(施設参加率)向上
産科施設に月報を郵送し、毎年、宮崎県産婦人科医会・宮崎県産科婦人科学会定時総会で経過報告と参加協力を依頼している。
③尿中ウロン酸分析検査の検体採取と費用
大量(30~50ml)の尿検体が必要で採取が困難である。保険適用外検査であるがNBS陽性精査で尿中ウロン酸分析検査を実施する際の費用は、NBSの二次検査として宮崎県健康づくり協会が負担している。
④有料拡大スクリーニングの公費負担
宮崎県福祉保健部健康増進課に陳情するも早急な対応はできないとのことであった。
⑤対象疾患拡大
2022年7月から脊髄性筋萎縮症スクリーニング検査のパイロットスタディを開始し、2023年4月から実施予定である。

活動報告一覧へ戻る▶