ライソゾーム病とは

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ライソゾーム病ってなに?

細胞の中にある小器官「ライソゾーム」には数多くの分解酵素があり、細胞内でいらなくなったタンパク質、脂肪、糖などを分解し、排出しています。この分解酵素のひとつが先天的に欠損しているために起こる病気が「ライソゾーム病」です。さまざまな症状を総称していう名前で、現在までに約60種の病気が知られています。

どのような症状がおきるの?

ライソゾーム病では、全身のさまざまな臓器に多彩な症状が現れます。ただし、生まれた時点では、症状は明らかでない場合が多く、成長とともに症状が現れてくる可能性があります。現れる症状は、病気の種類だけでなく重症度によっても異なります。以下に、それぞれのライソゾーム病で現れる、代表的な症状を示します。

ポンペ病

ポンペ病はライソゾームの中の酸性アルファ・グルコシダーゼという酵素の働きが低くなっていることで、グリコーゲンという物質が分解されにくくなり、全身のいろいろな臓器の細胞に蓄積して、筋力低下を始めとしたさまざまな症状を引き起こします。

主な症状 ・筋力低下
・筋緊張低下
・呼吸障害
・心肥大
・発育不全

※すべての症状が現れるとは限りません。

具体的な症状

  • ・体を支える筋肉の力が弱くなるため、寝返りやお座り、ハイハイ、歩行などの運動機能の発達に遅れが見られます。
  • ・呼吸するときに必要な筋肉が弱いため、呼吸しにくくなることがあります。眠っている間時々呼吸が止まってしまうため(睡眠時無呼吸症候群)、起床時に頭痛があることがあります。
  • ・心臓が大きくなって、不整脈や心不全などの障害を起こすことがあります。
  • ・食べ物を飲み込む時に必要な筋肉が弱いため、食べ物が気管に入って肺炎を起こすことがあります。

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ファブリー病

ファブリー病はライソゾームの中のアルファ・ガラクトシダーゼという酵素の働きが低くなっていることで、グロボトリアオシルセラミドという物質が分解されず、全身のいろいろな臓器の細胞に蓄積して、さまざまな症状を引き起こします。

主な症状 ・四肢末端痛
・腎不全
・タンパク尿
・心肥大
・皮膚の赤い発疹
・無汗症や低汗症
・難聴

※すべての症状が現れるとは限りません。

具体的な症状

  • ・手足の先に痛みやしびれを感じます。気温の変化や運動によって引き起こされることがあり、暑い夏やお風呂、運動が苦手だったりします。時々、発作的に激しい痛みが出ることがあります。
  • ・汗をかきにくくなるため、体温の調節が難しく、発熱しやすくなります。
  • ・腹痛や下痢などの胃腸の症状が出やすくなります。
  • ・腹部やお尻、陰部、太腿などに小さな赤い発疹が出ます。痛みや痒みはありません。

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ゴーシェ病

ゴーシェ病は細胞のライソゾームの中のグルコセレブロシダーゼという酵素の働きが低くなっていることで、グルコセレブロシドという物質が分解されにくくなり、肝臓や脾臓、骨髄などにグルコセレブロシドが蓄積して、いろいろな症状を引き起こします。

主な症状 ・貧血
・血小板減少症
・肝臓や脾臓の腫大
・骨痛や病的骨折
・眼球運動の異常
・成長障害
・神経症状が出てくる場合もある

※すべての症状が現れるとは限りません。

具体的な症状

  • ・肝臓・脾臓が腫れて、見た目でも判るくらいにお腹が大きくなります。
  • ・貧血になったり、血小板が少なくなるため出血しやすくなったりします。
  • ・骨が弱くなり、変形しやすく、場合によっては骨がとても痛くなったり、骨折を起こしやすくなります。
  • ・病気のタイプによっては、神経症状(けいれんなど)を伴うことがあります。

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ムコ多糖症Ⅰ型

ムコ多糖症Ⅰ型はライソゾームの中のアルファ-L-イズロニダーゼという酵素の働きが低くなっているで、グリコサミノグリカンという物質が分解されにくくなり、全身の骨や筋肉、内臓などの組織にグリコサミノグリカンが蓄積して、角膜混濁や特徴的顔貌などさまざまな症状を引き起こします

主な症状 ・特徴的な顔つき
・繰り返す中耳炎
・角膜混濁
・肝臓や脾臓の腫大
・関節の拘縮
・骨の変形
・臍や鼠経のヘルニア
・広範な蒙古斑
・精神発達遅滞
・低身長

※すべての症状が現れるとは限りません。

具体的な症状

  • ・からだ全体に蒙古斑がある場合があります。
  • ・頭が大きい、首が短い、舌が大きい、唇が厚いなど、特徴的な顔貌がみられます。
  • ・角膜混濁による視力低下や難聴、中耳炎をくり返すようになります。
  • ・肝臓や脾臓が大きくなるためお腹がぽっこりします。
  • ・心臓の弁膜症や臍ヘルニア、鼠経ヘルニアになりやすくなります。

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ムコ多糖症Ⅱ型

ムコ多糖症Ⅱ型はライソゾームの中のイズロン酸-2-スルファターゼという酵素の働きが低くなっていることで、グリコサミノグリカンという物質が分解されにくくなり、全身の骨や筋肉、内臓などの組織にグリコサミノグリカンが蓄積して、関節症状や骨変形などさまざまな症状を引き起こします。

主な症状 ・特徴的な顔つき
・繰り返す中耳炎
・肝臓や脾臓の腫大
・関節の拘縮
・骨の変形
・臍や鼠経のヘルニア
・広範な蒙古斑
・精神発達遅滞
・低身長

※すべての症状が現れるとは限りません。

具体的な症状

  • ・からだ全体に蒙古斑がある場合があります。
  • ・幼児期に急激に成長し、大きな鼻や厚い唇、大きな舌、歯ぐきが厚い、耳たぶが厚く硬いなどの特徴があります。
  • ・肝臓や脾臓が大きくなるためお腹がぽっこりします。
  • ・心臓の弁膜症や臍ヘルニア、鼠経ヘルニアになりやすくなります。

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